新宿ホワイトハウスをめぐる冒険(7)

新宿ホワイトハウスはChim↑Pomのスタジオから、会員制のアートスペース「White House」へと運用が変わったらしい(参照:美術手帖)。300部限定で発行されたパスポート所持者だけが中に入れるようだ。

運営は卯城氏を含む3人で、オフィシャルホームページには「【SUPPORT】Smappa!Group」とある。Smappa!Groupは新宿・歌舞伎町のホストクラブであり、Chim↑Pomのエリイさんの夫が会長を務めているらしい。パトロンになっているということだろうか。

ネオ・ダダの拠点→画家・武蔵美の教授の自宅→カフェ→Chim↑Pomのスタジオ→会員制アートスペース(歌舞伎町のホストクラブによるサポート)、という興味深い遍歴がまた新たに加わったようだ。

パスポートを持たない人は入れないのか、と気を落とすのは早合点かもしれない。

2021年9月26日、卯城氏がキュレーションを務めた「クサムラマッドラット」というチームの個展がホワイトハウスで開催されていたのだが、会員でない方も合言葉を受付で言えば中に入れます、というアナウンスがその合言葉とともに半ば公然と発表されていた。運用コンセプトとは裏腹に、やはり多くの人に見られたいという美術界の懐事情があるのだろうか(この個展のみの特別な処置だったのかもしれないが)。だから、行った。

この個展ではホワイトハウスへ入る方法として

二階のネオダダの壁画部屋にあるトマソン化した廃ドアから入る

という企画が催されていた。これはコンセプトが粋であるだけでなく、この建物に興味がある者にとってうれしい企画であった。カフェアリエ時代、2階は開放されていなかったからだ。

当日ホワイトハウスへ行くと、屋根に縄梯子が括り付けられていた。

縄梯子は下が固定されておらず、私は標準的な体重だが、登りながら、だいぶ危なっかしいなと思った。また、屋根へのダメージも心配であった。

しかし初めて2階に入れたのはやはりうれしかった。2階には受付があったが、特に合言葉は聞かれなかった。個展の四日目だったので、もう面倒くさくなっていたのだろうか。

新宿ホワイトハウスの動向には今後も注目したい。

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