その映像にもっとこだわってみよう

その映像にもっとこだわってみよう。


その映像を作った監督は誰なのか。
その、画面の左で青年が歌っていて、画面の右で老人がくつろいでいる4つのシーンがつなげられた、56秒のその映像を。


何か読み取るべきメッセージなり意味なりがあるのだろうか。
例えば老人の4つのシーンが既存の四字熟語に対応しているとしたら、映像を見ているものは腑に落ちるだろう。なんだ、古典へのオマージュか、と。例えば、起承転結とか、晴耕雨読とか(それでもその左側に青年が歌っている映像がつけられる意味はわからないのだが)。


老人の4つのシーンの要点をまとめてみよう。
1.動物との触れ合い
2.茶の文化
3.読書
4.映像の視聴


浅学のためか、私はこれにふさわしい四字熟語、ことわざを知らない。
その映像に呼応する、どんな古典も知らない。


何かのオマージュだとしたら、まっさきに連想されるのはポルノだろう。
ポルノには、その主な目的の映像の前に、ポルノ女優のふとしたしぐさなどをつなげた映像にバックグラウンドミュージックをつけた、イメージカットと呼ばれるイントロダクションが、ままある。


その映像に対して怒りを覚えた人の中には、こういう連想をした人が多いのではないだろうか。
さわやかな日曜日の朝に、唐突に老人のポルノ映像を見せつけられたかのような、そんな怒りがあったはずだ。


もう一つ連想するのは、リングという日本のホラー映画にでてくる「呪いのビデオ」だ。あのビデオには、
1.鏡の前で髪を梳かす女
2.文字がうごめく新聞記事
3.這いつくばっている複数の人
4.何かを指さしている、顔の隠れた人物
がでてくる。
何の関係もないように思えるが、つなげられた映像の「意味の分からなさ」と「その先になにが起こるのかわからない不気味さ」という点で、その映像ととても似ている。


まさか57秒目にその老人がスマートフォンの中から出てくるとか?
バカバカしい。